くるくる変わる表情で、しなやかな足で、躊躇う事無く全力で走り抜けてくる。
瞬く間もない程変化し続ける世界で、例え一瞬の光でも、娘は鮮烈な印象を残す。
大きな瞳を輝かせ、何も取りこぼすまいとするかの様に忙しなく動かすのだ。
だが、その深緋の双眸が最後に落ち着くのはいつも自分の方なのだと知っている。
「転ぶぞ」
「大丈夫!」
紅い瞳が私を見つめる。
本人は突っぱねているけど、その眼差しはとても優しい。
私はそれが嬉しくもあり恥ずかしくもあり、つまりは幸せで。
写真じゃなくて、この目に、心に、焼き付けたい。
一時もぶれることなく、そらさないで、真っ直ぐに。
例えあなたがいつの日か忘れてしまったとしても、今この時だけは覚えていて欲しくて、私はまたあなたの元へゆく。
飛べない代わりに、命を燃やして精一杯駆け抜けながら。
Fugetsu Tomo | http://fugetsu.sodenoshita.com/la.html/